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明日の仕事は、俺ら以外は全員芸歴一年目。
同期はもっとマシな仕事をしてるのだから、俺達は事務所からしたら相当の落ちこぼれなんだろうな。
バイトがあると言ってしまった俺達は身仕度を終えて控室を出た。
『池村さん、明日の仕事何?』
池村さんは俺達のマネージャーを三年前からやってくれてる。
本当はもっと売れてる芸人をマネージメントしたいだろうに、嫌な顔せずにやってくれてるからかなりいい人だ。
『井の頭公園でゴミ拾いです。』
劇場を出て歩きながら会話する。
『ゴミ拾いって。芸人がする仕事かよー!な?黒滝。』
笑いながらのびをする望月に、俺も笑って返す。
『だよなあー。こないだのオーディションも駄目だったしな。売れるようになったら今は下積み時代って呼ぶんだろうなあ!』
二人でハハハっと笑いあう。
本当は二人とも笑ってられないけど、一生懸命やってくれてる池村さんに嫌な顔は見せられない。
『そうですよね。僕も頑張りますから、絶対に売れてください!いや、売れますよ!じゃあ、また明日。』
池村さんは笑顔を浮かべて去っていった。
同時に、俺と望月の口からため息が漏れる。
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