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それから数日後、章ちゃんと同じ中学校で働いている友達から連絡があった。
「最近章吾先生、体育の佐々木先生と仲がいいわよ。」
それを聞いて全てを悟った。
要するに好きな女ができたのだ。そう心の中で整理すると、ふつふつと憎しみがわいてきた。それと同時に、悲しみもあふれてきた。でも、今『白田章吾』を殺しに行こうとしている自分がいるということは憎しみのほうが強かったということだ。
殺せばすむ問題じゃないということは知っていたが、章ちゃんが死ねばなにかスッキリするような気がした。
人を殺す前っていうのは意外に緊張しないんだなー。とテレビを見ている時にふと思った。丁度11時を回ったのでそろそろ出かけることにした。
格好はどうしようか。ジャージでいいかな。
いつだか章ちゃんに買ってもらった黒いジャージを押入れから引っ張り出した。
あとは、サングラスとマスクなのだが。いくら探してもでてこない。そりゃそうか。と今までの自分を振り返って思った後、途中で購入することにした。
白いキューブに乗って近くの100円ショップに車を走らせた。外はいい天気だなぁ。と思うのと同時に洗濯物を干せば良かったという後悔が胸をよぎった。
店の中に入ると冷房が効いていて、いつまでもここにいたいという衝動に駆られた。
サングラスはパーティグッズという売り場で簡単に見つけることができた。マスクもレジの隣にあった。
店を出るとまたむしむしした暑さが私の体を襲った。
殺したら…スッキリするのかな。
中学校に向かう途中ふと思った。
本当に気が済むのかな?
自分自身に問いかけるが、首を振る。もう後戻りはできないのだ。
目の前に目的の中学校が見えてきた。
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