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30分程だったが、体力はかなり回復した。アスファルトから腰を上げると、思い切り伸びをした。
さて、これからが本番だ。
自分に言い聞かせて細い裏道を出ようとした。と、その時。
体全体に痛みが広がった。瞬時に分かった。人とぶつかったのだ。
「すいません。」
と相手は即座に謝る。
黒いジャージを着た美しい女性だった。
「大丈夫ですか。」
と俺に声をかけ、手を差し伸べる。
「こ、こちらこそすいません。」
ありがとうございます。と小声で言って、女性の手を握る。夏なのにやけに手が冷たかった。
「お怪我はないようですね。どうもすみませんでした。」
その言葉に俺は軽く会釈をし、100円ショップに急いで駆け込む女性を呆然と眺めていた。
中学校に着いたのはそれから10分後だった。職員玄関らしき場所から中に入って事務室にいる女性に事情を話す。
しばらく待っていると、校長先生らしき人が現れた。やさしそうな先生だった。
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