【元サラリーマン①】

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大学時代教員を目指していた俺は一生懸命勉強し、試験に見事合格していたことをすっかりと忘れていた。 なのになんで、会社になんか勤めていたのか。それには哀しい理由があった。 朝寝坊した。それだけ。学校に面接に行くはずだったのに。気づいたらもう約束の時間を2時間ほど過ぎていた。あれは後悔しても仕切れない。 急いで学校に連絡したがもう遅いと断られた。その途端一気にやる気がうせた。ちょっとぐらい寝坊したっていいじゃねぇか。そんなの言い訳に過ぎなかった。 そんな俺には会社が一番、と妻に言われしぶしぶ仕事をしていたというわけだ。 というのを、最近頭が混乱しているせいかしていないのか、ふと思い出した。 やるしかない。 なぜかやる気が沸いてくるのだ。なぜか。 そう決心すると、急いでダンボールに埋もれていた仕事用のバッグをひっくり返した。 あった。 まだ傷ひとつ付いていない履歴書を取り出した。 こういう時のためにとって置いてよかったと心から思う。 よし。準備が調った。 俺は日本の国家を歌いながら希望の明日目指し公園を勢いよく出発した。
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