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つまんねぇ。と授業中に叫びたい衝動に駆られた。数学の先公は意味わかんねぇ呪文みたいのをぶつぶつ唱えてるし。4時間目の授業だから腹は減ってるし。
なんかおもしれぇことねぇかなー。と頬杖をつきながら窓の外を眺める。晴天が広がっていた。今日は雨です。と言っていたアナウンサーの顔が浮かんだ。
そんなことを考えているうちにわき腹になにかで突かれた。隣を見るとペンを持った永澤友美が笑って俺に紙を渡してきた。
「なんだよこれ。」
俺は小声で言った。
「回ってきたのよ。まぁ見てみなさいよ。」
渡された紙に視線をやる。
『児嶋忠之からの挑戦!!この数学の時間に手を上げ、先公に「つまんない」って言ったらその勇気をたたえ100円を贈呈する。』
くだらねぇ…こんなことを授業中にやる理由が理解できなかった。
俺は児嶋を冷たい視線で見る。児嶋は一生懸命授業に参加していた。
「ま、あんたにはそんな勇気ないでしょうから。次まわして。」
「な、なんだよそれ。」
少し俺はムッとする。
「じゃぁやってみなさいよ。ほら、もう終わっちゃうわよ。」
残り5分を切っている。
「この問題分かる人いるか?」
いいタイミングで先公は聞いた。全員の視線が俺に集まっていたような気がした。
「はい!!」
極度のプレッシャーに襲われながらも俺は勇気を振り絞った。
「はい。佐々木君。」
ここでみんなをあっ、と言わせてやるぜ。」
「先生。つまんないんですけど!!」
顔が一気に赤らんでいくのが自分でも分かった。
「は?」
キーンコーンカーンコーン
丁度授業の終わりを告げる鐘が鳴った。
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