【とある学生①】

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つまんねぇ。と授業中に叫びたい衝動に駆られた。数学の先公は意味わかんねぇ呪文みたいのをぶつぶつ唱えてるし。4時間目の授業だから腹は減ってるし。 なんかおもしれぇことねぇかなー。と頬杖をつきながら窓の外を眺める。晴天が広がっていた。今日は雨です。と言っていたアナウンサーの顔が浮かんだ。 そんなことを考えているうちにわき腹になにかで突かれた。隣を見るとペンを持った永澤友美が笑って俺に紙を渡してきた。 「なんだよこれ。」 俺は小声で言った。 「回ってきたのよ。まぁ見てみなさいよ。」 渡された紙に視線をやる。 『児嶋忠之からの挑戦!!この数学の時間に手を上げ、先公に「つまんない」って言ったらその勇気をたたえ100円を贈呈する。』 くだらねぇ…こんなことを授業中にやる理由が理解できなかった。 俺は児嶋を冷たい視線で見る。児嶋は一生懸命授業に参加していた。 「ま、あんたにはそんな勇気ないでしょうから。次まわして。」 「な、なんだよそれ。」 少し俺はムッとする。 「じゃぁやってみなさいよ。ほら、もう終わっちゃうわよ。」 残り5分を切っている。 「この問題分かる人いるか?」 いいタイミングで先公は聞いた。全員の視線が俺に集まっていたような気がした。 「はい!!」 極度のプレッシャーに襲われながらも俺は勇気を振り絞った。 「はい。佐々木君。」 ここでみんなをあっ、と言わせてやるぜ。」 「先生。つまんないんですけど!!」 顔が一気に赤らんでいくのが自分でも分かった。 「は?」 キーンコーンカーンコーン 丁度授業の終わりを告げる鐘が鳴った。
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