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『ふざけるな!何を考えてるかわからないけど、俺は今すぐ金が欲しいんだ!!本当に殺すぞ?』そう言うと男は、翼の胸倉を掴みナイフを翼の顔に突き付け薄く浅い傷をつけた…痛さで、ウッてなる翼を見て男の手は激しく震える…ガタガタガタ『ほら…っ… 早く出さねーと…殺すっつてるだろーが。』
『君には、殺せない、こんなにも人を殺す事に怯えているじゃないか…過ちを犯して欲しくない』
男の目から、激しく涙が流れはじめ濡れたアスファルトの上にひざまずき男は語りはじめた。
『…(泣)実は…父親が借金をして…借金を残して自殺したんだ。…その借金の取り立てが辛くて…俺の給料じゃ…間に合わなくて……本職とバイトをしても…間に合わなくて…(泣)ぅっ…毎月ちゃんと返せないなら妹に体で稼いで貰うぞ?って言われて……頼る人がいない俺は、こんな形でしか…妹を守れない事に気付いた。』
そう聞いて僕はイラッとした…
犯罪に染まって妹を守ろうだの馬鹿やろうだ…
捕まったら…
妹は、どうなる?
そう思うと同時に僕は彼の顔を拳でおもいっきり殴った。
『ばっかじゃねえか?捕まったら、どうなるんだよ(怒)もう少しましな考え方しろよ!どんなに窮地に立たされても冷静さを失っちゃ……どうにもならないだろ?しっかりしろ!』
『痛てぇ………どうしたら良かったんだよ!!お前は、俺みたいな事にあった事ないから、そんな風に言えるんだろ?何もわかっちゃいない…』
『ふふ……そう思うのか……僕には、親がいない…そして君に似た状況におかれていた事があるんだ。……小さな頃にな……親父が友達の保証人になって、友達が払えなくなって…失踪した。…親父は自殺なんかしなかったが神に命を持ってかれてしまった。その時、神はいるのか?小さいながら神への疑心が生まれた。そして居ないんじゃないかって思ったさ、その後何年も母親が昼と夜働いて全部返した……僕がまだ中学生だった頃だった。早く大人になりたかった。そしたら助けてやれたのに……母親も死んでしまった……(泣)病院に行ってたら、助かったかもしれないのに、僕の事を思うとお金を使えなかったらしい』
『俺は、お前よりは幸せなんだな…母親はいるから…病弱で働けないけど生きててくれてるだけで…良かったと思う…兄弟とかいないのか?』
『いないよ。それより、僕んちすぐそこだから、良かったら入りなよ!』
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