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夕紀はがばっと身を起こし辺りを見渡す。
さっきから木々の間から影がちらちら見えている。
目を瞑ると光の差し込みだけはわかるものだ。 眩しいか、暗いか。
最初は雲が少し早く動いているんだと思っていたが、
さっき仰向けになったとき、葉と葉の間に見えた空には雲など無かったのである。
もう一度見上げる。
空、葉、それにセミが著しく飛んでいる。
木にも止まらず、まるで何かから逃げるようにバタバタと。
恐らく影の正体は奴だろう。
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