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入学式から1週間。ぎこちなくはあるが、なんとか毎日を過ごしていた。 クラスでの新しい友達は、まだできていない。ハブかれているわけではないのだか、元々の内気な性格のため、自分から話しかけることができずにいる。 クラスの友達は、今のところ小学校から一緒のミズホだけだ。ミズホは私とは正反対の社交的で明るい性格。それに可愛いから、誰にでも好かれている。 「ミズホみたいになれたら…」なんて今までに何回思ったことだろう。 「アキー!」 自分の席でぼーっとしていたら、ミズホに声をかけられた。 いつの間にか授業が終わり、昼休みになっていたようだ。私がぼーっとするのは昔からで、よく親にも心配されている。 私とミズホが所属しているのは吹奏楽部。部員のほとんどはなんとなく音楽室でお弁当を食べ、それから少し練習をする。私たちも例外でなくその流れに乗り、ここ3日間くらい音楽室に通っていた。 そして今日もそうなのだろう、と立ち上がったのだが、ミズホは思いも寄らないことを言い出した。 「今日はクラスで食べない?」 「え…どうしたの、急に?」 「あの子たちと話してたら気が合っちゃって、流れで一緒に食べることになったの。だから、付き合って?」 「あの子たち」と言って指された方向を見ると、3人の女の子がいた。1人は同じ部活の子。もう1人は話したことのない、少し怖そうな雰囲気の子。そして、1人だけ落ち着いた空気を纏っているのは綺麗なあの子。 「ね?お願い!」 ミズホはそう言って顔の前で手を合わせた。 「…ん、いいよ。」 特に断る理由もないし、ね。どちらかと言えば、クラスメイトと話す機会を作ってくれたミズホに感謝するべきかもしれない。
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