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その変わった生き物はしゃがみこんでチータと目線をあわせた
「マイ」
「マイ?」
チータは不思議そうに繰り返す
「あなたは?」
「おら、チータ。風の神の息子だ」
目をぱちくりさせて、やがてマイは笑い出した
「おもしろい子」
「マイはなんだ?鹿でもねぇ、ウサギでもねぇ、クマでもねぇ…なんだ、天上人に似てんな」
「クマもウサギも鹿もみんな動物さんだよ?私は人…人間だって」
「人間?」
チータは不思議そうに繰り返す
チータはこれまで人間と呼ばれる生き物たちを見たことがなかった
父である風の神は知っているのかもしれない
なにしろ国中を飛び回っているのだ
動物たちだけではなく、チータよりも多くのことを知っているのだろう
「なぁ、マイ。あのキラキラしたのはなんだ?」
チータは空を飛ぶ、丸い、輝くものを指差してマイにたずねた
マイは空を見上げた
「あれはシャボン玉だよ」
「シャボン玉?」
チータはまた繰り返す
マイは手にしていた細い管に息を吹き込んだ
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