チータとマイのシャボン玉

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ぷくぅっとチータが先ほど割った丸いものが出てきた なるほど、これがシャボン玉というのか チータは次々に空へ上がっていくシャボン玉を見て想った 「シャボン玉とんだ。屋根までとんだ。屋根までとんでこわれて消えた。シャボン玉消えた。飛ばずに消えた。生まれてすぐにこわれて消えた」 マイが静かに歌いだした チータは不思議そうに始めて聞くメロディに耳を傾けていた 「かぜかぜ吹くな、シャボン玉とばそ」 マイの歌声ははかないものだった チータはきゅぅっと胸を締め付けられた 「マイ、なんだか悲しそうだな」 「悲しい?」 「あぁ」 チータの言葉にマイは首をかしげる 悲しいなど、初めて言われたことだった マイは不思議そうにチータを見つめた 「悲しいことあったのか?」 「悲しいこと…」 マイはチータから視線をはずし、空をみあげる マイが飛ばしたシャボン玉はゆっくりゆっくり、空へと上がっていく 「私ね、頭の中に悪い病気があるんだって」 マイはぽつりとそんなことをつぶやいた もちろんチータは、『病気』なんて言葉知らない だが、それが悪いものであることはなんとなくわかった 「マイね、大人になれないんだって。大人になる前にいなくなっちゃうんだって」 「いなくなる?」 「うん。お空に昇るってことだよって前におばあちゃんが教えてくれたの」 チータは空を見た マイに見えているのかわからないが、空には無数の鬼や自然に住む神々が飛んでいた 空に昇るとは彼らと仲間になるということなのだろうか もしそうなのだとしたら、チータとも仲間だ
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