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『チータ?』
風の神は塞ぎこむ息子の顔を見つめた
チータは木のてっぺんに座りぼんやりと月を見上げている
はて、何かあったか?
風の神は何も言わずそばに浮いていた
「なぁ…人間ってなんだ?」
『人間は…なによりも弱いものたちだ。私たちよりもな』
風の神はチータの問いにそう答えた
チータは、そうか、とつぶやくとうつむいた
『人間に会ったか?』
「会った」
『そうか…なら、悪いことは言わない。さっさと忘れることだ』
風の神は無情にもそうつげた
チータははっとして風の神を見上げた
『チータ、人の寿命は私たちのものより遥かに短い。仲良くなって、その人間が死んだとき辛いのはお前だ』
「……」
チータは視線を落とした
風の神はそれ以上言わずにその場を立ち去った
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