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相も変わらずへらへらと笑う桐山に連れられて無駄に豪華なエントランスを抜け、寮監の部屋に着いた。
「ここが寮監の河中さんの部屋だよ」
「へえ。ずいぶんさっぱりした部屋だね」
「河中さんが改築したんだって、あんまりにも派手なのは好みじゃあないからってね。さあ、行っくよー!」
テンション高く桐山が扉をノックした。脳内は大体わかる。大方河中さんというひとが僕を気に入っていく様子を想像しているんだろう。だけど、そんな上手く行くはずないだろう?
だって、僕は王道じゃない。
がちゃりと扉が開いた。顔を出したのは、やっぱりと言うべきか、容姿の整ったひとだった。
「お、祐樹と……転入生か?」
「そうなの! こちらがね、転入生の木下拓真くんです! 見て見て、外見言ってたとおりでしょ?」
「ああ、そうだな……。まあ、おまえはちょっと黙ってな。木下くん、寮監の河中和志です。よろしくな」
「よろしくお願いします」
今の情景こそ腐男子受けの王道だと思う。気を許した先生に腐った話を繰り広げる腐男子と話を聞いて辟易しながらもひそかに恋する先生。完璧じゃないか。
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