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「まあ、話を続けようか。各部屋は2LDKで、ユニットバスが備え付けられている。キッチンは残念ながら最新式ではないんだが、一般家庭でも十分に使えるレベルのシステムキッチンがある。寝室は一人一部屋、十八畳だ」
「……広いですね」
「まあ、そんじょそこらの賃貸アパートやマンションにも負けないだろうな」
本当に、学生には勿体なさすぎる設備だ。お金持ちのお坊っちゃまなんて料理しないひとがほとんどだろうからキッチンは宝の持ち腐れになるだろうし、食べないんだからダイニングだって無駄だ。
それに月々に一定額の食費を追加で払えば食堂が使い放題だし。
僕は自炊する気でいるから都合はいいけれども。
「……そういえば、洗濯はどうするんですか」
「洗濯は週に三回クリーニング業者が来るが、料金はそれなりにかかるからいやだったらランドリールームで洗うといい。部屋にも一応洗濯乾燥機はあるけれど、型が古くて使いにくいからあまり使われないな」
「わかりました」
ああ、なんて贅沢なんだろう。普通の学生が聞いたら怒りだしそうな好待遇だ。まあその分とてつもないお金が掛かるのだけれど、僕は一応特待生となっているのですべて無料でいける。うん、太っ腹だ。
「まあ、説明はこんなところかな。わからないことがあれば祐樹に聞いてくれ」
「はい」
「鍵は持ってるな? じゃああとは祐樹、よろしく」
「はーい! ほら行こう! 部屋で色々詳しく聞かせてっ」
テンションが納まっていない桐山に、河中さんへの挨拶もそこそこに引きずっていかれた。160に行くか行かないかの小柄な身体のどこにそんな力があったんだろう。
もちろん抵抗する気もなく、おとなしく引っ張っていかれた。
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