始まり。

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「はは、キミ、ホンットに王道じゃないね。見た目はまるっきり王道なのに」 「今更気付いたの?」 「だってさー、せっかく来た転入生だったんだもん。特権乱用しまくって写真手に入れたときからめちゃくちゃ期待してたんだよ。でもキミ、フラグ立てる前にへし折りそう。……ていうか、王道って何かわかってるの?」 「変装美少年やんちゃ総受けもしくは総愛され」 「ああ、うん……大体合ってるけど……え、何? 木下くん腐男子なの」 「もちろん。娯楽が少ないから生ホモ見て楽しもうと思って」 まあ、これは嘘だけど。実際はここに入らないといけない状況になっただけ。セキュリティは完備、それなりの家の息子が集まっている、女がいない。これだけ好条件の学校は他になかった。 僕の答えに桐山は目を爛々と輝かせた。なんだか襲われそうだ。 「ねえ、王道体験……」 「断る。僕はどっちかっていうと総受けより固定CP派なんだ。それよりさ、さっき特権って言ってたけど、何かの役員なの?」 「むー……ボクは風紀副委員長だよ。前に指名されちゃって、舐められないように大変なんだから。あ、外だとキャラ違うからね!」 「へえ……」 こいつは使えるかもしれない。どうやらそれなりの権力を持っているようだし、頭も悪くない。何より、僕と趣味が同じで口も堅そうだ。
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