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-???家/???自室-
「新しい制服…やっぱりかわいいッ♪」
そう言って白いフリルの袖口と襟が付いた、ドレス系の黒い制服を自分の前に翳すこの少女。
---名を…蒼井 渚砂(あおい なぎさ)という。
「少しは大人っぽく見えるかな?」
そう言って制服を翳した鏡の自分を見る。
…が。
「ん~…この童顔じゃやっぱダメか…」
ダメ出ししながら自分の頬をむにむにと引っ張る。
しかし渚砂はすぐに、エヘッと笑いながら笑顔を作って言う。
「でも笑顔は今日もカンペキ!」
そう言って時計に目を向ける。時間は7時10分。
「あッ…Σ(゚Д゚;)」
小さく叫び、渚砂は急いでドアを開けて階段を下りた。
「わぁ~~っ!大変、遅れちゃう~~!!」
そして玄関に座りブーツを履いている最中、渚砂の母親がオロオロしながら寄って来て言った。
「渚砂、今日からは寄宿舎生活なのよ?本当に大丈夫?ちゃんとやっていける!?あなたってば、ドジだし忘れ物多いしアガリ症だし……お母さん心配で心配で……」
「ううー、ひどいッ!確かにそうだけどっ!」
母の言い分に少しヘコむ渚砂。
しかし渚砂は、靴紐を結んで言った。
「……でも、やっていくしかない…よね?」
そう言って玄関のノブを掴んで、外に出ながら言った。
「じゃ、いってきます!心配しないで、きっと大丈夫だから!」
そして渚砂は学校へ歩を進めた。
だって…
朝からこんなにいいお天気で…
こんなに晴れ晴れとした気分で迎えることのできた新学期だもの!
渚砂は神様のことってよくわからないけれど
こんなステキな日は…
きっと神様が、渚砂のことを応援してくれてるような気がするの!
そう心で呟いていると、いつの間にか駅に着いていた。
「あれッ?いつの間にか駅に着いてたんだ」
そう言って駅のホームを歩いて、適当な場所に立っていると、自分と同じ色の黒い「男物」の制服を着た青年が自分の横に立っているのに気付いた。
「(私の制服と同じ色の服…ミアトルの生徒かな……そんな訳ないよね。あそこは全部女子校だもん)」
そう思いながら青年を見ていると、こちらに目を向けて言った。
「……何か用か?」
青年に言われ、渚砂はとりあえず名前を聞いた。
「あ、えーっと、…名前を、教えて欲しいな~って……」
「……桜井 司。お前は…?」
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