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「……?」
振り向いてそこにいたのは、渚砂と同じ服を着た…それでも渚砂より少し年上くらいの銀髪をした少女。
木に手を置きながら俺を見ている。
その人を見た…第一印象を述べるとすれば……
---…「綺麗」だった…。
「アンタ……誰だ…?」
とりあえず無言で見つめ合うのも変な感じなので、名前を聞こうと口を開く。
「私…?私は……」
相手が名乗ろうとした直後、春一番のような強風が吹く。
しかし、名前は聞き取れた。
いや、聞いてしまった。
その少女の名は……
…「花園静馬(ハナゾノ シズマ)」だ。
「よろしくね…編入生さん……」
優しそうに微笑みながら近付き、手を差し延べる。
その手には、古びた…それでいてかなり高価そうな懐中時計が乗っていた。
「あ…これ、どこで?」
「これ…貴方のだったの…?そこに落ちてたから拾ったのだけれど…名前がないから誰のかと……」
「そっか…ありがとう」
微笑みながら差し延べられた手を握ると同時に、懐中時計を掴んで立ち上がる。
「…………」
「ん…?どうした?」
静馬が黙ってこちらを見ている。
だから心配になって聞いたのだ。
だが……。
「…おもしろい人……」
そう言えば、優しい微笑みから妖しい微笑みに変わり、俺の手を絡めてくる。
「え…?」
「気に入ったわ……貴方…」
そう言って顔を近付ける静馬。
動かそうにも、何故だか身体は動かない。
そうしてる間にも静馬と自分の顔(唇)の距離は近付き……
---…俺と静馬の唇は…重なった……。
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