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夜の7時前。
「行ってきます」
血染め唄を唄った少年が、家を出た。
「塾とかマジ面倒くせぇ……学校の勉強だけで十分だっつの」
そう悪態をつく少年は、いつもと何かが違う気がして空を見上げた。
「そうか……今夜は新月だから、いつもより暗く感じるのか」
新月、という単語で少年は血染め唄の事を思い出した。
《その唄を唄うと新月の夜に死神に連れ去られ――》
少年は歌詞を知り唄を唄った。死神など居る訳がない、と。
だが、少年からは冷や汗が滴り落ちる。
「いやいや、ナイナイ。何怖がってんだ俺、馬鹿かよ」
少年が頭を振り自分の考えを否定した時、"上"から声がした。
「唄っちまったのは、お前だな?」
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