§01 最悪な出会い

5/19
前へ
/638ページ
次へ
女の首筋にはナイフが当てられている。 怪しく笑いながらラウドを睨み付ける男達。 正直言って気持ち悪い。 女はボロボロと涙を流して震えていた。 時折小さく「助けて」と言っているのが聞こえる。 「随分と澄ました顔じゃねぇか、あ?色男君。ビビり過ぎて声も出ねぇか?」 不意に女を羽交い締めにしている男がラウドを睨む。 ラウドはため息をつきながら頭を掻いた。 これほどめんどくさい事はない。 「何?その女欲しいの?ならやるよ」 そう言ってラウドは女に視線を送る。 女の目が一瞬見開き、またボロボロと涙を流した。 男達も同様に目を見開いていたが、また厭らしい顔付きに戻る。 どうやら引き下がってくれないらしい。 案の定、男は別の要求をしてきた。 「女の替えなんざ腐るほどいるってか?心底ムカつく野郎だなぁ。けどなぁ、俺らもこんな女よりも金品の方が欲しいんだよ。ボコされたくなかったら金目のもん、全部置いてけよ」 男の声に合わせて残りの三人がラウドを囲む。 ──つーか、こんだけ野次馬いるくせに誰もフォースに連絡しねぇのかよ 所詮は他人、って事か .
/638ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24031人が本棚に入れています
本棚に追加