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女の首筋にはナイフが当てられている。
怪しく笑いながらラウドを睨み付ける男達。
正直言って気持ち悪い。
女はボロボロと涙を流して震えていた。
時折小さく「助けて」と言っているのが聞こえる。
「随分と澄ました顔じゃねぇか、あ?色男君。ビビり過ぎて声も出ねぇか?」
不意に女を羽交い締めにしている男がラウドを睨む。
ラウドはため息をつきながら頭を掻いた。
これほどめんどくさい事はない。
「何?その女欲しいの?ならやるよ」
そう言ってラウドは女に視線を送る。
女の目が一瞬見開き、またボロボロと涙を流した。
男達も同様に目を見開いていたが、また厭らしい顔付きに戻る。
どうやら引き下がってくれないらしい。
案の定、男は別の要求をしてきた。
「女の替えなんざ腐るほどいるってか?心底ムカつく野郎だなぁ。けどなぁ、俺らもこんな女よりも金品の方が欲しいんだよ。ボコされたくなかったら金目のもん、全部置いてけよ」
男の声に合わせて残りの三人がラウドを囲む。
──つーか、こんだけ野次馬いるくせに誰もフォースに連絡しねぇのかよ
所詮は他人、って事か
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