それぞれの夜

10/10
前へ
/10ページ
次へ
「"紗杞(さき)"は捺乃(なつの)の使ってる偽名なんだよね?」 「‥‥」 「やめたって教えてくれたの、嘘じゃないの!?」 「ごめん。瀬津(せつ)、わかって。やめられないの」 捺乃(なつの)は切なげな表情をして行った。 午後6時、新宿駅近くのカラオケボックスの中に亜樹斗(あきと)と穂高(ほだか)はいた。 「亜樹斗(あきと)って呼んでいい?」 「‥‥構わねぇけど」 「私は藍祢(あいね)って呼んで」 「あぁ。わかった」 「今日穂高(ほだか)に無理矢理連れて来られたんだって?」 「あいつんなこと喋ったのか」 「ごめんね。私が話したくて穂高(ほだか)に頼んだんだ」 藍祢(あいね)は少し寂しそうな表情をして言った。 「あれ?同じ学校だったっけ?」 「そう。同じ学校」 「なんで穂高(ほだか)と知り合いなんだ?」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加