それぞれの夜

9/10
前へ
/10ページ
次へ
捺乃(なつの)の携帯が鳴り響いた。 「‥‥紗杞(さき)です」 「…五万でやらない?」 「んー‥八万」 紗杞(さき)は冷たい声で言った。 「‥‥わかった」 「場所はどうします?新宿でいいですか?」 「いいよ。じゃあ9時に新宿で」 「わかりました」 紗杞(さき)は電話を切った。 「あ―‥疲れた。‥‥盗み聞きが趣味ってちょっと人の道に反してるんじゃないの?瀬津(せつ)」 「ごめん捺乃(なつの)。でも、心配で。紗杞(さき)って誰?」 瀬津(せつ)と呼ばれた女の子は捺乃(なつの)の幼馴染みだ。 捺乃(なつの)が同性で唯一心を許せる存在だ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加