事のハジマリ

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 事の始まりは、私がまだ十にも満たない幼児の頃だった。  その頃はまだ家も羽振りがよく、TVゲームやオモチャ等ねだれば買って貰えていた。  遊び盛りの頃だった為、よく近所の友人達と広場で遊んだり、家でゲームやオモチャで遊んだりと、やんちゃ盛りだった。  そんなある日、同居していた母方の父(つまり祖父)が、自室に私を呼んだ。  その祖父とは時々一緒にお風呂に入る仲だった。  呼ばれた私は、いつものように無邪気に部屋へ行くと、そこには、何時もとは様子の違う祖父が椅子に腰掛けていた。  床にはタオルが一枚敷いてあり、祖父はゆっくりと手招きをした。躊躇いつつも、 「お小遣いあげるから」 と言う言葉に釣られて近くに寄ると、自分のズボンを脱ぎ私の頭を押さえつけた。 何がなんだかわからない私に 「口を開けてくわえてごらん」 と指示をし、言われるまました。  次にタオルの上に寝かされ、全裸にされて両足を開かされた。  何をされているのかも解らずに、そのまま事が終わるのをじっと堪えていた。  事が終わると、当時には珍しかったが自室にウォシュレットトイレがあり、そこで綺麗に洗ってもらい、服を着た後、約束通りお小遣いをもらって部屋を出た。  子供だったうえに無知だったのだ。その行為の意味すら知らず、それがどれ程罪深い事なのかも知らず、それは度々繰り返された。  そして必ず最後に言われたセリフ 「お母さんやおばあちゃん達には内緒だよ?」 「これは二人だけの秘密だよ」  それは私にとって呪いの呪文の様だった。
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