微かな光

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 この高校には『プール』と言うものが無かったため、中学三年間していた水泳部は無かった。  それどころか、陸上部以外の部活が存在していなかった。 唯一在ったのはバスケット同好会だった。  その同好会もほとんどの部員が生徒会に関わる人間だけで、活動と言えば昼休みや放課後に体育館で遊びでゲームをする程度のものだった。  いつも暇潰しに体育館に行って見学しに行っていた私は、いつの間にか顔や名前を覚えられていて、部員に誘われて一緒に遊んでいる内にバスケットを教え込まれる程の仲になっていた。  そうしているうちに、友達も増え、気になる異性も出来はじめた。  二年に上がる前に二つ年上の先輩と初めてお付き合いをすることも出来た。  その人には昔の真実を話すことが出来た。  彼は 「辛かったな」 って言って私を優しく包んでくれた。 そして私にキス以上の行為を求めることはしなかった。  将来結婚しようとまで言ってくれたが、その人とはなかなか会う機会も無く、一年と持たず別れてしまった。  しかし高校三年間の生活は中学時代とは全く正反対の明るい学生生活を送ることが出来た。  二年生には生徒会役員にもなり、積極的に人と関わる明るく活発な私に戻ることが出来た。 人を好きになることも出来た。 友達を作ることも出来た。  凄く充実した高校生活を送ることが出来た。
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