第2章 捕らわれの魔法使い

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クレイルは牢獄から脱獄した。 生きるためなら、血で手が汚れようと厭わない。 そういう時代だったから。 人の世の時の流れは恐ろしいもの。 平和を謳っていたのに、いまや血で汚れている。 最早親も子も兄弟もない。 敵側につけば、なんのためらいもなく殺し合う。 そして無関係だった自分たちを巻き込んで。 たくさんの朋輩が無残に殺されるところを見てきた。 最期の顔を忘れない。 もっと俺は生きたい。たくさんのことを知り、強くなりたい。そしてかたきをうたなければいけない。 だから生きなければならない。 こんなとこで死ぬわけにはいかない。 どんなことをしてでも。
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