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盛大に溜め息を吐いて、額に手を当てる。しょうがないから、総悟のいないところでこっそりと吸うようにするか。
ぶつぶつ文句を言っていると、するりと白い手が俺の首の後ろにまわされてぐいっと下に引っ張られた。
柔らかい感触を唇に感じたかと思うとそれはすぐに離れていってしまって。まだその感触を味わっていたいと思わせるそれは、ひとつしか思い当たらず。
「口寂しいんなら、これで我慢しなせえよ」
目に入ったのは耳まで真っ赤で俯く総悟の姿。総悟から口付けてくることなんて、滅多にないから驚きのあまり硬直してしまった。
総悟の言葉にはっと我に返ると、そういえば最近キスなんてしてなかったなと思い出す。今のが、すごく久しぶりだった。
……。
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