嫉妬するほど君が好きなんだ

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「げっ…」 なかなか非番の日が重ならず、ふたりで居られる時間が少ない中の貴重な見廻りなのに最悪な相手に出会ってしまった。 一瞬で気分がブルーになった。ああ、切開総悟と二人きりだったのに。 しかし、総悟の方はというと、 「旦那!」 と語尾にハートマークが付きそうな勢いで言うと忌ま忌ましいその銀髪に抱き付いた。 「なっ、総悟!」 なぜだか、総悟は銀髪野郎もとい万事屋に懐いているのだ。だから、コイツに会う度に総悟は抱き付いたりする。 「沖田くんじゃん♪奇遇だねー」 もしかして運命?などとほざきながら万事屋は抱き付いている総悟の頭を撫でた。 総悟はそれに嫌がる素振りもせず、寧ろ嬉しそうに俺には見せたこともない笑顔を向けている。 もちろん、俺からしたら気にくわないに決まっている。すぐにでも引き剥がしてやりたい。 だが、いまこの時点でそんなことをしたら嫉妬心丸出しだ。それは気が引ける。 「旦那、今日は暇ですか?」 そんなことを考えていると総悟はなんとも意味ありげな事を万事屋に聞いた。 すると、万事屋は 「暇!沖田くんが暇なら絶対暇だからっ」 なんて意味不明な事を言った。 総悟は 「まじでか。じゃあ、パフェでも食いに行きませんかィ?」 俺の奢りですから、とにっこりと笑った。 何言ってんだ、あいつは。そんなこと、俺が許すわけねえだろ。 「いいよ、行こうぜっ。でも、パフェもいいけど俺は沖田くんが食べた」 「ふざけんな。さっさと行くぞ、総悟」 俺が言うと万事屋は一瞬固まったがすぐにニタリと嫌な笑みを浮かべ此方をみた。 「何?多串くん、嫉妬ー?」 「ああ、そうだよ。…行くぞ、総悟」 「へ?ちょっ、やめ、離っ…」 暴れる総悟の腕を引っ張って万事屋の横を通り過ぎた。 、
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