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「…、総悟?」
襖を開いた途端に人影がみえて、みえてはいけないものでもみえてしまったのかと一瞬、息を呑んだ。
だが、それはみえてはいけないものなんかではなくて寧ろ、みえてほしいもので。
何故、自分の部屋で寝ていないのか。
ほっとしながら部屋に入り、とりあえず、疲れ果てた身体を休めるべく適当な場所に腰をおろした。
ご丁寧に土方の布団を敷いて、土方の枕で、そして誰のだかわからない抱き枕を抱いている。とは言っても、沖田が持っているのだから沖田のものなのだろうが。
いつの間にこんなもん買ったんだ。
然し、こう…自分の布団で気持ちよさそうに眠られると自分の部屋に戻って寝ろなんてこと言えなくなる。理性的なものも、僅かながらにグラつく。
「ひじか、た…さ、ん」
「…!」
もぞもぞと動いて、布団からはみ出ながらふわりと微笑み愛しそうに抱き枕を抱き直して土方の名前を呟いた。
(何コイツ可愛すぎなんだけど!)
更に土方の理性をグラつかせる沖田の行為に目を逸らさずにはいられなかった。いくらなんでも、いくら数週間、沖田に触れられなかったからといっても、寝込みを襲うことなどできない。
そう自分に言い聞かせて、寝間着に着替え始めた。
みてしまえば、今度こそ理性がやばい。わかっていた。だが、ほんの一瞬、魔が差して沖田をみてしまった。そして、すぐに後悔した。
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