男の娘とお姉さん

前編

　勿論のこと、僕はデートに行くことにした。映画のタイトルがアレだとか、そこまで偶然を強調しちゃうととか、まあそういうのは無しにしておく。

　ぶっちゃけデートは久しぶりだから嬉しい。それでも、一つ気になることはあるけれど、それはデートが終わってから聞いても問題ないだろう。

　タンスから服を何着か取り出し、明後日のデートに備える。やっぱり準備は早めに終わらせておくのが一番。早過ぎるかもしれないけど、遅いよりは百倍マシだ。ただ難点なのが、天気。冬も近付いてきたこの頃。急に寒くなるんだよねー。今日の朝の天気予報だと、今週いっぱいは比較的暖かいらしいけど、とりあえずはそれを信用しよう。

　寒い時と暖かい時の二つを想定して、服を見繕った。うん、これで良し。

　服を戻して、ベッドにダイブ。スプリングの軋む音とささやかな反発。もう三年も使っているので、僕に完璧にフィットする。

　うつらうつらとしてきたところで、僕は思い出した。

　お風呂入ってない……。

　はあ、とため息を一つ。さよなら眠気。さよならマイベッド。

　のそりと起き上がり、名残惜しくベッドを見つめながら、僕は部屋を出た。