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  「あのさ、落ち着いて聞いてくれ。俺はノートじゃなくて、蒼地圭太っていう別の人間なんだ。ノートと俺の人格が入れ替わったらしく、今の俺は体はノートで心が蒼地なんだよ。」   「へえ~ それで?」   「それで、俺は元の体に戻る方法を探してるんだ」   俺は必死で説明した。それはもう必死で説明した。なのにこの男の反応はあまりにも期待外れだった。   「なあノート、いくら学校行きたくないからってそんな手の込んだ嘘つかなくていいから。さあ、早く行こうぜ」   俺の肩を叩いて嘲笑しながら語りかけてくる。   「いやいや嘘じゃねえよ。マジで俺困ってんだよ」   「よくそんな嘘を毎日思い付くよな。ある意味尊敬するよ。でも、おふざけはもう終わりにしようぜ」   彼は呆れ顔でそう言うと、大きな手で俺の頭を鷲掴みにして歩き出した。     どうやらノートという人物は極度の学校嫌いらしい。俺の必死の訴えが無意味になる程高い精度の嘘を毎日ついている。それくらい学校が嫌なのだろう。      そして俺はノートのお友達に粗末な扱いをされながら、学校へと向かうのだった。奇人変人まみれの学校へと――    
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