1人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「は? 魔法陣の描き方が分からない? おいおい、その冗談は流石に無理があるだろ」
俺が魔法陣の描き方を尋ねた時のルファの反応がこれだ。彼は呆れ顔でため息をついている。
それもそのはず、俺… いや、ノートは今まで当然のごとく魔法を使っていたのだから。そんな人間が突然魔法陣も描けませんと言っても、ルファからはふざけてるようにしか見えない。つまり、魔法陣の描き方を聞き出すには、ルファから見て不自然にならないように尋ねる必要がある。俺は考えた末、博打を打った。
「いやいや、この前ルファが使ってた必殺技だよ。えーっと… 」
「ああ、『クリーピンスネーク』のことか?」
「そうだ、クリーピンスネークだ。あれ教えてくれ。俺も使ってみたいんだ」
術名が聞き出せた。あとは魔法陣だけだ。
「まあ最初は俺がやってみるから、しっかり見てろよ」
ルファはそう言うと、制服のポケットからメモ帳を取り出し、青色のペンで魔法陣を描き始めた。俺は忘れないようにそれを凝視する。
「じゃ、いくぞ!」
ルファはペンをしまい剣に持ち変えると、切っ先を正面に向けて構えた。
「泥よ、地を這う大蛇となれ――
“Creeping snake”」
最初のコメントを投稿しよう!