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結論から言うと、やっぱり魔法は使えなかった。
「どういうことだ? 魔法陣も詠唱も間違いはないはずなのに、発現すらされないなんて。失敗だとしても、魔力がゼロでない限りは発現されるのだが… 」
ルファは首を傾げてぶつぶつ言っている。
おそらく、本来この体に宿っているはずの魔力は、元の世界にある俺の体に移っているのだろう。
つまり、俺とノートの人格と魔力が、互いの体に入れ替わってしまったのだ。
今頃はノートが俺の体を操っていて、俺みたいにあたふたしているのだろうか。
さて、これはいかんですよ。俺一人で元に戻る方法を見つけ出すのは不可能に近いはずだ。少しでも多くの人に事情を知ってもらい、手掛かりを見つけねば。俺は未だに考え込んでるルファに話し掛ける。
「なあ、これで分かっただろ? 俺は別の世界からここに来ちまったんだ」
「何? それはどういうことだ?」
まずは一番身近な存在であるルファからだ。俺は彼に、今日起こったことを詳細に渡って説明した。
ルファは黙って俺の話を聞き、頷きながらメモをとっている。俺にはそう見えた。まさか彼が書いていたのが魔法陣だとは思いもしなかった。
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