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 俺は泥玉を喰らいながら、鎧男の元へと駆け寄った。   「助けてくれ、鎧のおっさん。俺の話を聞いてくれ!」   「ふん、何か困っておるようだな。ふん、いいだろう。俺に言うがいい」   「信じらんない話だろうけど―― 」      俺は今日起こった出来事を詳細に渡って説明した。鎧男は両手を腰に構えて、ふんふん言いながらそれを聞いている。   「 ――というわけなんだけどさ、何か知ってる事があったら教えてくれない? おっさんなら少しは… 」   「ふん、ありえん」   俺の言葉を遮っておっさんは一言呟いた。   「えーっと、今何て… 」   「ありえないと言っておるのだ。そんな現実離れした事が起こるわけないだろう」   現実離れした人間にそんなこと言われるなんて心外だ。   「でも、この世界には魔法があるだろ。なんか、転移魔法? …的なものを使われたんじゃないの?」   「ふん、そんな魔法は存在しない!」   「でも実際に俺はこうして… 」 「ふん、黙れい! そんな話は聞いたこともないぞ。それとも、俺を怒らせたいのか?」   「信じてくれって。お願いだから信じてくれよ!」   「分かった分かった。そんなに俺と戦いたいのか。ふん、いいだろう」      彼はゆっくりとした動作で剣を構えて、完全にやる気満々だ。俺はジリジリと後退するが、既に退路は塞がれていた。後ろからルファが叫び出す。   「今日は逃がさないぜ、ノート!」   反対側からは鎧男の声。   「ふん、どうした。来ないのなら俺から行くぞ!」   「ちょ、待って。待って嫌だ止め… ぎゃああああああああ!!」      薄れゆく意識の中で俺は思ったよ。何故この世界の人間は皆、人の話を聞かないのかと――    
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