1人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
痛む股関を押さえながら、走り去るミラを眺めて途方に暮れる俺。これからどうすればいいのだろうか。
今までの出来事を振り返ってみると、ある仮説が成り立つ。
俺は何かの拍子に、ノートの体に俺の人格が移ってしまった。または、お互いに人格が入れ替わってしまったのだ。
それなら全てのつじつまが合う。鏡で見た俺の顔が別人なのも、俺を取り巻く環境が変わったのも。
さて困った。早く元の体に戻りたい。いったいどうすれば戻れるのだろうか。
前方に俺に向かって手を振る男を発見した。よく見れば俺と同じ制服を着ている。ノートの友達なのだろう。しばらく立ち止まって考え込んでいた俺だったが、彼に向かって歩き出した。
「おはようノート。今日はミラいないねえ。さてはケンカでもしたな?」
「おはよ。まあ、いろいろあってな」
短い銀髪が似合う小麦色の肌、そしてガタイのいい男。これがノートの友達。
とりあえず、彼に事情を説明しよう。ノートの友達なんだし、ちゃんと説明すれば分かってくれるはずだ。
最初のコメントを投稿しよう!