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カチャカチャカチャ……。
硬いものがフローリングを軽く引っ掻く音がする。
……来たな。
アイツの行動パターンはいつも同じ。
この後はドアに鼻を押し付けて数秒経ったあと哀しく鳴いてあの足音を立てるんだ。
……? してこない?
心配になった僕は思わずドアを開けてしまう。
そこには、ドッカリと寝そべるアイツがいた。
僕は自己嫌悪に陥り、ため息をつく。
僕より年上なことを考慮したとしても獣の罠にかかるなんて……。
アイツは嬉しそうに尾を振りながら隣の部屋の前で止まる。
……僕はお前のドアマンじゃないんだよ。
そう思いながら、飼い主兼兄の部屋のドアを開けてやるのだ。
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