渇き

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そして失われていた昨夜の記憶が、一気に頭の中にまるで津波のように押し寄せ、空白だった全てのピースを埋めた。 陽子は全身から汗を噴き出させ、両手で頭を抱え込むと 「あああー!あー!ああー!あああああー!あああああー!」 と絶叫した。 あまりの陽子の取り乱しように、持っていた鞄を床に落とし立ち尽くす美幸。 陽子は、一頻りの絶叫の後今度はそのまま石のように沈黙し、よろよろと二階の自分の部屋に戻り普段着に着替えると、台所の壁に貼り付くように固まっている妹を尻目に、そのまま外に出て行った。
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