捜査開始

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「う~ん‥」 村崎は今しがた目覚めたような伸びをしながら、重ねて岡本に問いかける。 「岡本っちゃん、ちゅうことはあれか?火炎放射機より高温の火が、いきなり二人の男を襲って逃げる間も与えんと、黒焦げにしたちゅうことか?」 「村さん、それだけじゃないで」 岡本が一層険しい表情で、今度は哀れな犠牲者を指差しながら、絞り出すように言う。 「こんだけ全身炭化させられちょるのに、二人共が顏だけは一切焼かれちょらん」 「火炎放射機じゃ無理じゃし、この辺りでそれ以上の火力の武器引き摺って歩く奴ぁ、絶対おらんで」 暫く岡本の話を聞いていた村崎は 「なら、他所でじっくり焼いてから、ここへ運んだっちゅう推理は無理か?」 犠牲者の体を、ぽかんとした表情で眺めていた村崎は、そう質問しながら岡本に視線を移した。 「まあ、そりゃあ今からよお調べてから、報告するいの」 降って湧いたこの壊滅的に難解な事件に、ため息をつきながら立ち上がると、岡本はまた部下達への指示を始めた。 村崎は、ポケットから取り出したハイライトを暫く見つめた後、 「あ、禁煙中じゃったのう」 と、自分に言い聞かせるように呟き、名残惜しそうに再びポケットに戻すと、パトカーに戻り無線で署への報告を始めた。
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