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「あの高さは、どれ程でしょう?」
薄く霧がかかった夜、鬱蒼と茂る林の中に唯一存在することを許されたかのように、小さく拓けた湖があった。
「あなた、おわかりになって?」
凛と澄んだ声の主は、天高く昇り琥珀色に輝く丸い月を指差して、僕のほうを向くなり、そう言葉を発していた。
病院の入院服のような白い肩袖のワンピースと、それに反発するかのような黒く腰まで伸びる長い髪。
そして、その姿を少女の形に映した長い影。
僕は一瞬、その姿に目を奪われた。
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