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「てっ事は…」
彼は親友と顔を見合わせて、青ざめました。
それを待っていたかのように、爆音が響きました。
「こいつ、エンジンぶっ壊しやがった。」
「救難船の準備は?!」
「出来てます!」
「急いで乗り込め!」
彼の怒声が辺りに響きわたりました。
「おい!
なにやっているんだ!」
彼が殺人鬼の横から離れない親友を呼びに行きます。
「こいつ、こんなになっても生きてたんだ。これぐらいしないと。」
親友は殺人鬼を近くの柱にくくりつけていました。
「もう、いいだろう!
逃げなきゃ船を出せなくなる!」
彼はやっとくくりつけ終わった親友を引きずるようにして、船につれてきました。
爆音の度に揺れる船。
沈没は火を見るより明らかです。
それも、2、3分にといった感じでしょう。
「はやく!」
「もう大丈夫だ!
出てくれ!!」
私は船が着水していることを確認し、固定用のロープをきりました。
「救難信号を撃つぞ。」
彼は静かに信号弾を打ち上げました。
夜は深く、陰鬱とした雲がかかっていたのは、よく覚えています。
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