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「んん…。」
私が目を覚ましたとき、船は浜辺にあり、浜辺より少し陸側に寝かされているのに気がつきました。
「ここは…」
私が辺りを見回すと、あるのは青い海と白い砂浜、そして青々とした森でした。
人が住んでいる気配は全くありませんでした。
「あ…」
私の横には、親友がうつぶせで寝ていましたが、彼の姿はありませんでした。
私はすぐに立ち上がり、辺りを見回しました。
しかし、彼の姿を見つけられません。
「よう。起きたか。」
彼が突然、森の中から出て来て私は驚きました。
「ど、どこに行ってたの?」
「ここの地形調査。
どうやら、無人島にきちまったらしい。」
彼がやれやれとため息をつきました。
「さっき、ぐるっと一周してみたが、ここにたどり着いたのは、俺たちだけ。
あとの3人は見あたらなかった。」
彼は砂浜に歪な円わ描き、一点を指差します。
「今、俺らはここ。
森の中には、猛獣はいないらしいし、湧き水もあった。」
彼は円の中央を指差し、痕をつけます。
「ここまで移動するぞ。」
彼は親友を担ぎ上げて森に入りました。
私も後を追います。
「不気味ね…」
「森なんてこんなもんだろ。」
「そうじゃなくて、もっと、得体の知れない何か違和感が…」
まるで、違う世界。踏み入れてはいけない世界に踏み入れてしまったような。
私は寒気を感じ、腕をさすりました。
「気のせいだろう。
疲れてんだよ。」
彼は私の方を見て、軽く笑いかけてくれました。
私も笑い返しますが、どうしても違和感を拭い切れませんでした。
彼が見つけた湧き水の場所は拓けていて、休むにはちょうどよい感じでした。
「救難信号を打ったけど、随分遠くに来ている可能性もあるからな。
対策を練らなけりゃならないな。」
湧き水を飲んでいた私は、水から口を離し、考え込む。
「そうね。
いざとなったら、あのボートで、海にでて行かなければならないわよね…」
「まぁ、今は深く考えずに寝て回復を図ろう。」
彼は大の字になり、寝転がる。
「うん。」
私も彼の近くに寝そべり、眠りに落ちていきました。
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