其は深き闇より出にけり

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私たちは親友が目を覚ますのを待って、とにかく、しばらく過ごせる場所を探しました。 木下や岩陰を見つけては、入ってみましたが、どれも3人が入るのには、狭すぎました。 「あら?」 私は頬に冷たい滴を感じ、見上げました。 それを待っていたように豪雨が降り出しました。 「うわ!」 「きゃ!」 「くそ!」 私達は必死雨宿りできる場所を探しました。 「! あそこにいこう!」 親友が雨の向こうを指さします。 そこには確かに雨宿りのできそうな洞穴があります。 「急げ!」 私達が飛び込むと雨はより一層ひどくなりました。 「くそ…」 彼が今一度忌々しそうに悪態をつきました。 「台風でも来てるのかな?」 「いや、スコールだろ。 夕立みたいなもんだけど、しばらくは出られないな。」 私達か空を見つめていると、親友が口を開きました。 「なぁ、この奥。 どうなってんだろうな…」 「あ?」 彼は服を絞りながら、親友が指さした方をみました。 確かに奥に続いているようです。 「鍾乳洞か?」 「どっちにしろ、ここは蒸し暑いし、中に行かないか?」 親友は中からの空気に手を当てています。 「そうだな。暇だし。」
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