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鍾乳洞は思いがけず深い上に何とも不気味な雰囲気がありました。
砂浜に打ち上げられていたと彼は懐中電灯を取り出し、先頭を進んでいます。
親友は船の上で手に入れたナイフを構え、彼に並ぶほど近づいて二番。
私は一番最後を歩いていました。
「鍾乳洞って、深いのね。
鍾乳洞って、みんなこうなのかしら?」
私は思ったことを口にしました。
この不気味な雰囲気に耐えきれなくなったのかもしれません。
「いや、この洞窟は人工物だよ。
ほら。」
彼は足元を照らします。
「階段?」
「それに、脇には水が入り込んでも平気なように用水路の跡もある。」
確かにかなり壊れかかっていますが、形は残っています。
「本当だ。
って事はここに誰か住んでるってことか?」
「住んでた…だな。
ここまで崩れ始めていれば、去った後だな。」
それだけを言うと、彼は再び進み始めます。
5分ぐらいでしょうか。それ位歩いたところに少し広めの広場に出ました。
「なんだ?ここは…」
「きゃぁ!」
私は何かにかかとを突っかけてしまい、転んでしまいました。
「大丈夫か?」
彼が手を伸ばしてくれるので、その手を取り、立ち上がりました。
「かかとに何かはまっちゃって…っ!」
「うっ!」
私達は絶句しました。
私のかかとにはまっていたのは、頭蓋骨だったのです。
彼が辺りを照らすと、おびただしい数の人骨が散乱してました。
「なんだよ…これ…」
「…すべて他殺だ…
なぜ、これほどの数が…」
二人はあたりを見渡しています。
「これは…」
彼が壁に掘られた模様を見つけ、近づいていきます。
「古代文字?」
確かに壁に掘られていたのは、学校でみた楔型文字ににている気がします。
「なぁ、これ…」
親友は彼に古びた本を渡しました。
「これは?」
「この遺体が持っていた。」
親友が指さした先には、少し前時代的な鞄を背負った遺体があります。
「…読むか。」
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