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彼が中に入ってから、ほんの5分ぐらいでしょうか?
操舵室から彼が手を振るのを見つけました。
手にはピストルのような物を持っていました。
「よかった…」
私が安堵し、ほっと息を吐きました。
しかし、次の瞬間、黒い影が見え、彼が消えてしまいました。
「あれは!」
親友はすぐに駆け出しました。
「あ!お前はここで待っててくれ!」
「どうしだの?!」
私はたまらず叫んでしまいました。
恐ろしい予感がよぎったからです。
「あの殺人鬼に、あいつが!」
そういいながら、親友は船内にかけていってしまいました。
そう、親友は影の姿を明確にとらえていたのです。
暫く呆然としていたのですが、気を取り戻し、いてもたってもいられず、親友を追いかけました。
操舵室の場所は前に見たことがあるので、迷わず向かえました。
飛び込んだとき彼の手から血が滴り、親友が彼を支えていました。
二人は私に気がついたようでしたが、殺人鬼は気がついていないようでした。
気がつくと、彼が私を見つめています。
そして、すっと視線を足元に落としたのです。
私も足元に視線を落とすと、信号弾が落ちていました。
私はそれを手に取り、殺人鬼に構えました。
殺人鬼はやっと私に気がつき、振り向いてきました。
すると、すぐに奇声を発し、私に切りかかってきました。
「撃てぇぇぇ!」
私は襲ってくる恐怖や脅威に向かって引き金を引いたと言うより、彼の声に驚き引き金を引いきました。
弾は殺人鬼の腹部をとらえて、破裂しました。赤や青の光が操舵室が照らされ、私は目を瞑りました。
光が収まると、私はそっと目を開けました。
すると、彼と親友はすでに目を開けており、殺人鬼にふれていました。
「し、死んだの?」
私は親友の代わりに彼を支えて、親友に聞きました。
「死んでる。息をしていない。」
親友は鼻の前に手を当て、ついでに脈拍を調べ、死亡を確認しました。
私は呆然自失として、立ちすくんでいました。
「信号弾はいくつ残っている?」
「あっ?え?
えっと、後一発だけだけど…」
突然かけられた彼の声に私は少し、ビクッとしましたが、手に持った信号弾を確認しました。
「とにかく、甲板に出よう。」
親友は警戒しながら、私達を誘導してくれました。
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