其の形は火傷が如く

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甲板にでたとき、誰かがいました。 「誰だ!」 親友がナイフを取り出し、構えました。 ナイフはたまたま甲板に戻るときに、死んでいる人から拝借物でした。 「心配しなくても良い。 俺が操舵室に行くときに、集めておいた。」 「すいません。私達3人しか…」 「そうか…」 彼は残念そうな声を出して、うなだれました。 「大丈夫?」 「ああ。 それより、いつまでもここにいるのはやばい。 救難船で逃げよう。」 彼は私たちにてきぱきと指示を出し、救難船の用意を進めました。 「あ、危ない!」 彼によって集められた人の一人が叫び声をあげます。 彼は素早く後ろを振り向くと、殺人鬼が鞘を振り上げて、殴りかかってきたのです。 「逃げろ!」 彼は私を突き飛ばし、殺人鬼にタックルを加えました。 「ぐ…おおぉ!」 彼は腕の痛みに耐え、咆哮します。 そのまま、彼は殺人鬼を壁にたたきつけました。 たったそれだけで殺人鬼が動かなくなったのです。 「はぁ…はぁ…」 「大丈夫か!」 親友が彼に駆け寄り、腕を担ぎ上げました。 「なんで生きてるんだ…」 「あ、あの時は、確実に死んでいたんだ!」 親友は焦るように語尾を強くします。 それに対して、彼は静かに返しました。 「医者の息子のお前の言葉を疑ってるわけじゃない。 それに、横腹にでっかい穴があいて、生きてるとも思えない。」 彼は極めて冷静である、私はそう感じました。 「こいつは何なんだ… ん?」 彼は殺人鬼に顔を近づけて、見ます。 「お、おい…」 「なあ、これどう思う?」 彼が殺人鬼の方を指さします。 「え?」 「いや。こいつ、腕がないんだよ。 変に火傷もしてるし。」 「本当だ。 これはただ切れた感じじゃないな。 それに頬にこれだけ大きな火傷なんて普通しないな。」 「だろう? なんていうか…」 「引きちぎられた後だな。 しかも、尋常な力じゃない。骨が砕かれて、上腕の骨が残っている。」 「それに…なんだ?これ。」 彼は肉にめり込んだ金属片を抜きました。 「歯車…かな?」 私はやっと立ち上がり、二人の会話に加わりました。 「あぁ、それは、船のエンジンの歯車ですね。」 私達の会話に少しわかめの男の人が加わってきました。 「タービンの?」 「ええ、自分この船の調整士をしてるんですが、それは間違いなく、この船のエンジンに組み込まれている歯車ですよ。 でも…」 「でも?」 男の人は腕を組んで、首を傾げました。 「その歯車は奥にはめ込まれて、解体でもしないと表にでない物なんですよ。」
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