第1話 冷戦の置き土産

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突然の出来事に体は対応できず座っていた椅子から吹き飛ばされ、ほんの数秒気を失ってしまった 気がつくと、教室の窓側の壁に巨大な穴があいていた しばらく(といっても十数秒だろうが)状況が飲み込めず、呆然として座り込んでいたが、マリーに肩を揺すられ、教室の中にいた生徒だったであろう肉片や、ちぎれた手足を見たことで強烈な吐き気と共に思考が戻り瞬時に状況を理解した 東セレリアが侵攻してきたのだ 西セレリアの上級学校(高校)には、教育機関としての役割とともに敵の侵攻を遅らせるトーチカとしての働きを持たされている 徴兵制を国民がいやがるから学校を防衛施設にするなんざ全くふざけた話だ しかし、東セレリアの侵攻が現実となった以上、学生は徹底抗戦しなければならない どうやらすでに交戦している部隊があるらしく、G3小銃とAK47の発砲音が聞こえる 目の前のマリーが何か言ってるが耳がいかれてて判らない 「コー!大丈夫?」 耳元で大声を出されてやっと聞こえるレベルだ 喉から出かかった酸っぱい液体を無理矢理飲み込む 「ああ!どこにも怪我はなさそうだ!」 「なら、ここは危ないから車両庫へ行こう!」 「わかった!ついてくよ!」
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