第1話 冷戦の置き土産

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「コー、ここで待つか?」 発車前の最終点検を終えて砲塔の上に立つエーファが聞く 襲ってきた東セレリア兵のことが僕の頭をよぎった 「いや、どこにいても危なそうだから着いていくよ」 「そうか。ならこれを持て」 彼女はそういうと、セレリア学生兵用のウッドランドBDUの上着とワルサーMPL短機関銃と予備マガジン二本の入ったショルダー型のマガジンポーチを渡してきた 「使い方は知ってるか?」 「ストックを展開してボルトを引いて、グリップの上に付いている安全装置を解除して撃つ、だろ?」 BDUを着ながら答えた 「その通りだが、弾薬の節約と味方うちをしないようセミオートで撃つんだ わかっているだろうが、私たちは命の保証をすることができない。だから自分の命は自分で守るんだ、コー」 「ああ、わかったよ。死んだら天国で文句を垂れてやる」 金属をプレスして作った無骨で単純な短機関銃を握りしめ、答えた 自分の命を預けられるものは、今はこれしかない 「ふふっ その意気だ」 エーファはそう言って微笑んだ 闘わなきゃ、殺られてしまう
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