気まぐれ詩①

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【Dear ご主人様】 繋がれたこの首輪は似合ってますか? リードとの距離より近くて幸せです きっと過去も無愛想な貴方に ずっと付き添っていたでしょう 空が青々として 雲が漂っていた日に 帽子を深く被って 私だけを見てくれた 見下ろす目は優しい 貴方は自分で気がついていますか? 私がゆらゆら揺れるコスモスへと 目を奪われていた曇りの日に 貴方は他人に見せない笑顔でいたのを 私はちらり横目で知っています。 ふるふると寒くて冷たい雨の日は 濡れた私にコートを掛けて抱いてくれました そんな貴方を他人は知らない この行動を私のモノだけに留めたい いつかまた生まれ変わったら 今度は人間に生まれて 貴方にずっと付き添っていたい 生まれ変わった私に 貴方は気付いてくれるでしょうか? 私と共に笑ってくれるでしょうか? 私は貴方より寿命が短いです 人間より側にいる時間は とっても とっても 少ないです... 私の名前の名付け親も ずっと呼んでくれるのも 貴方でした。 死ぬまで側にいてくれたのは 貴方だけでした。 私という...塊を抱きしめてくれたのも 貴方だけでした。 今度は同時に生まれて 同じ時間を過ごせる様に そう 願って・・・ 貴方の事 待ってます。 きっとあの塊じゃない私達なら 言葉も心も通じると信じて 気持ち伝えられるのを 待っています。 出来るならこの思い出を 抱えたまま 幸せを生きられたらと 贅沢を言っちゃ駄目ですか? 土の布団すら掛ける事を しとしとと躊躇う貴方と また幸せに暮らせる世界へ 私がきちんと調べておきますね。 これは独りよがりですか? 私だけの思いなのですか? あんなに撫でてくれた貴方を信じて この時間にサヨナラします。 だって サヨナラしなきゃ 遇った時にヨロシクできないもの いいえ “会った時” そう 信じて さようなら 大好きな ご主人様
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