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玄関の扉を開くと、空は雲ひとつない快晴だった。 寒くもなく暑くもない。 絶好の自転車通学日和。 毎日がこんな日だったらなぁと、しみじみ思う。 大学までは十分程度の距離。 余裕をもつことは、俺の唯一のこだわりだ。 だから調子にのって、たまに時間をもて余すことがあった。 そういうときは大抵、コンビニか大学付属の図書館で本を読んで過ごす。 この日も時間を潰すべく、登校途中にあり、いつも立ち寄っているコンビニに行った。 「いらっしゃいませ」 店員が、はなから決まっている台詞を言う。 店内の客は、立ち読みしているスーツを着たおじさんだけだった。 俺も立ち読みをするべく、おじさんの隣に並んだ。
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