狼と正直少年

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 豪は昨今、帝を真っ直ぐに見ることができずにいた。なぜならそれは彼が青春真っ只中だからである。  彼がどういう経緯があって彼女に恋をしたのかはちょっとしたトラブルがあったのだが、それはまた別の機会にしておこう。 「と、いうわけで、桃太郎は岡山の民話と言われているが、日本全国に鬼ヶ島伝説があることから、これは桃太郎の出身地が必ずしも岡山でないことが言える。ちなみに先生のプロポーズは、俺の犬、猿、キジになって、俺の腰の吉備団子を貰ってくれくれ!だ。」  午後の古文なのか歴史なのか日本史なのかさっぱり分からない授業で、教員は堂々と自慢話と下ネタをけらけらと笑いながら話している。この授業を真面目に聞いている人はほとんどいない。いや、先生のプロポーズ以前までは真面目に聞いていた。  夕陽が照らす町並みを、豪は仁王立ちで歩いていた。ちなみに彼は部活は一応やっているが、それが『青春爆発ファイヤー部』というどこかのロボットアニメのオープニングテーマのサビの部分をそのままパクったもので、更に活動は土日の豪とほとんど変わらないので、あまり意味がない。 「今日も皇とあまり話せなかった……。」  仁王立ちから幽霊のようなポーズに変わった。
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