狼と正直少年

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 ホームルーム開始15分前に、なんとか豪は教室につくことができた。 「よぉ黒政。今日はいつになく遅かったな。」  豪に声をかけてきた悪友、麦坂赤也(むぎさかせきや)が言った。 「家のワンコが俺の部屋に入らなけりゃ、こんな時間にならないさ。」 「犬か……。おーい帝王、お前犬好きだろ?黒政が呼んでるぜー?」  麦坂は、黒板の前で友達と話している女子、皇帝を呼んだ。あだ名が名前の文字を逆にして『帝王』なのだが、本人はあまり気にしていない。 「んー?どうしたの黒政くん?」  ニコニコしながら豪に歩み寄る帝。 「す、皇!悪い!俺ちょっとトイレ!」  豪は物凄い勢いで駆け出し、その場をあとにした。
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