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その玄関先に《それ》を起こさないように慎重に下ろした。
パサッ
そこで女は初めてフードを脱いだ。
腰まである金髪を一束にして後ろまとめている。
その表情は…暗がり故見ることは出来なかったが、その雰囲気は普通とはかけ離れた気品を漂わせている。
女は、自分の遺伝子を受け継いだのであろう《それ》の髪をいとおしそうに触れた。
女「さよなら…私の娘(こ)」
…ザッ!
その一言を合図に女は暗闇に溶けていった。
「スー……ウッウッ…オギャーァギャー!!」
辺りに赤子の泣き声がむなしく響いた。
パッと小春宿の玄関に明かりがつき、一人の男性が現われた。
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