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目蓋の上から光が刺して、眩しくて目が覚めた。朝になったらしい。
僕は裕貴と一緒にベッドで寝ていた。彼はまだ気持ち良さそうに寝息を立てている。
結論から言えば、僕は彼に指一本たりとも触れていない。
いや、寝ている間に少し触れたりはしたかもしれないけれど、とりあえず自分の意志では触れていない。
ベッドにダイブした途端にすやすや眠りだした裕貴に、手を出すはずもない。僕は一応ノンケのつもりだし、彼はわからないけど、違ったとしても初対面の奴とセックスするはずもない。
煙が裕貴のほうに行かないように注意しながら煙草をふかし、ぼんやりと寝顔を見る。
そのうち、ん、と唸りながら裕貴が目を覚ました。
「……おはよ、」
「おはよう」
「んー……、ねえ直樹、今何時?」
「九時だよ」
「そっか」
少し二日酔いになっているらしく、彼は怠そうに起き上がった。そのまま寝たせいで服に皺が寄っている。
「シャワー借りていい?」
「うん。そこ出て右にあるから。あ、洗濯したかったら乾燥機もあるよ」
「はあい。ありがと」
裕貴が脱衣場に消えてから灰皿に煙草を押しつけて、バスタオルを探すためにクローゼットを開けた。
洗い替えが確かあったはずだ。
「あった」
あまり使わないから奥の方に入っていたバスタオルを取り出して脱衣所に置いておく。
時計はいつもなら寝直している時間を指しているけれど、寝る気にもなれなくて読みかけの本を開いた。
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